2013/07/27

夏季特別イベント用 怖くない話3

俺は、小さい頃、家の事情でばあちゃんに預けられていた。
見知らぬ土地に来て間もなく当然友達もいない。
いつしか俺は書簡に、自分が考えたすごろくを書くのに夢中になっていた。
それをばあちゃんに見せては
「ここで呂布が出るんだよ」
「ここに止まったら三回休み~」
ばあちゃんはニコニコしながら、「ほうそうかい、そいつはすごいねぇ」と相づちを打ってくれる。
それが何故かすごく嬉しくて、何冊も何冊も書いていた。
やがて俺にも友達が出き、そんなこともせず友達と遊びまくってたころ
家の事情も解消され、自分の家に戻った。ばあちゃんは別れる時もニコニコしていて、
「おかあさんと一緒に暮らせるようになってよかったねぇ」と喜んでくれた。

魏に仕官して暫く過ぎた頃、そのばあちゃんが死んだ。89歳の大往生だった。
遺品を整理していた母から、「あんたに」と一冊のノートをもらった。
開いてみると、そこにはばあちゃんが作ったすごろくが書かれてあった。
呂布の絵らしき物が書かれていたり、何故か張遼とか陳宮も混じっていたり。「ばあちゃん、よく作ったな」とちょっと苦笑していた。
最後のあがりのページを見た。「あがり」と達筆な字で書かれていた、その下に

「徐庶(俺)くんに友達がいっぱいできますように」

人前で、親の前で号泣したのは初めてでした。
ばあちゃん、死に目に会えなくてごめんよ。
魏で友達できてなくてごめんよ。

「でりやぁぁぁぁぁぁーーん!」
すると突然、一人のハゲが泣きながら我が家突入してきてこう言ったんだ。

「わし、已吾生まれのT!友達になろうぜ!」

ばあちゃん、もう已吾生まれの友達ができたよ、ありがとう。

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