2013/07/27

夏季特別イベント用 怖くない話2

甘寧が引っ越しをした。
引っ越し先は築101年の一戸建てで、リフォーム済の良い家だった。
だが、家賃が異常なまでに安い。周囲の物件の半分程度しかないのだ。
俺たちは「そんなに安いのっておかしい」「絶対いわく付きだ」「放火に気をつけて下さい」等と甘寧をちゃかしていた。
やがて甘寧は「そんな事は絶対に無い。来てみればどんなに良い家かわかる」と言い始めた。
そこで、俺と呂蒙さん、陸遜の3人で甘寧の家に遊びに行くことになった。

甘寧の家に入ると、やはりどこかイヤな気配がした。
甘寧はしきりに「どうだ、なにもないだろ。おまえらは僻んでいるだけなんだ」等と言っていた。
一階を回った後、階段を上り二階を見て回った。
そこで、築城が得意な清正に付きまとわれて、建築のことに詳しくなった呂蒙さんが首を傾げた。
どうかしました?と陸遜が聞くと「一階と二階の広さが違う。二階にはもう一部屋あるはずだ」と言う。
言われてみると、確かにおかしかった。
二階の廊下の先に、もう一部屋あるはずだった。
問題の廊下にみんなで行って、突き当たりの壁をよく見てみると、壁紙が周りのものより新しい事に気がついた。
そこで、壁紙を引き剥がしてみると、呂蒙さんの予想通りに扉があったので、陸遜が大騒ぎして褒めだして大変だった。
陸遜が落ち着いてから戸を開けようとしたが、鍵がかかっていて開かない。
俺たちは甘寧の許可を得て扉を破ることにした。
数度の体当たりの後、扉は開かれた。
部屋の中には何もなかった。
ただ部屋の壁すべてに青いクレヨンでびっしりとこう書かれていた。


おとうさんおかあさんごめんなさいここからだしてください
おとうさんおかあさんごめんなさいここからだしてください
ここからだしてここからだしてここからだしてここからだして
ここからだしてここからだしてここからだしてここからだして
ここからだしてここからだしてここからだしてここからだして
ここからだしてここからだして典韋さんだしてくれてさんきゅう


已吾生まれってスゴイ、改めてそう思った。

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