棘陽生まれの文官のトウ艾が昇進が決まり、許昌に一人暮らしする事になりました。
とあるマンションに引っ越したその日、部屋に小さな穴があいていて、向こう側が真っ赤なのに気づきました。
トウ艾は、すぐに大家に連絡して埋めて貰う約束をしました。工事は来週なので、それまで棚を置いて塞いでおく事にしました。
すると、隣の部屋から恐ろしく低い声が聞こえてきました。
「ナンデ…ナンデカクシタ…!!!」
「穴が開いていてはお互いのプライバシーの侵害になります」
「エッ」
「大家に連絡したのでご安心下さい。ところで先ほど蕎麦の出前を頼みましたので、届き次第、持ってご挨拶に参りたいのですが、ご都合宜しいでしょうか」
「チョッ、マッ、空気ヨメ!!」
怒鳴り声と共に棚が倒され、穴からもやもやとした煙が這い出てきました。それは徐々に女の形になっていきます。目から真っ赤な血が滴っています。
「コロシテヤル…!!」
「なんと、人ではなかったのか…」
「ヨシ、ヨウヤク怯エテ…」
「ゲキハダーッ!!!」
「!!?」
トウ艾は叫びながら光線を放ちました。それは赤い目の女に命中し、下半身を消滅させます。
「ウガァァ!!!」
「むっ、撃破出来なかったか…」
「ウ、ヒ、怯ンデル?コレ反撃ノチャンス?」
「助太刀するぜ!!!」
力強く扉を開けたのは已吾生まれで霊感が強いTさんでした!
「デリーーッッ!!!!」
「ウギャァァアアアアア!!!」
Tさんの頭の輝きに、赤い目の女は完全に消滅しました。
「かたじけない。自分の力では撃破に至りませんでした」
「いやあ、なんの。おめェは若いなりによく出来てるって。わしもプカプカしてられねェな」
「有難いお言葉です。しかしT殿、どうしてここに?」
「ざるそば4つ、お待たせしやしたー」
「なんと」
已吾生まれと棘陽生まれは凄い、改めてそう思いました。
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