~こども(元こどももOK)集まれ!~
典韋の!こどもの日おはなし会
典韋が仲間達と考えたオリジナルコスチューム2に関するおはなしです。
元になったおはなしを変えたり、合併させたりしていますのでご注意ください。
【典韋の泣いた赤鬼】
むかしむかし、山奥に赤鬼が住んでいました。人に優しさを分かってもらえずいつも一人ぼっちでしたが、友達の青鬼のおかげで今は友達がたくさんです。しかし同時に青鬼がいなくなってしまいました。自分が傍にいては人にまた怖がられると青鬼は言うのです。赤鬼は冗談だと思って待っていました。けれども青鬼はちっとも帰ってきません。赤鬼は悲しくなって毎日泣いていました。
ある日金太郎と名乗る大男がやってきました。
「強い赤鬼がいると聞いた。手合わせを願いたい」
「ここには泣いてる赤鬼しかいねェよ」
金太郎は泣いている理由を聞いて言いました。
「その青鬼を連れて帰ってくるから、元気になって手合わせしてくれ」
赤鬼は一緒に行きたかったのですが、泣きはらした目が痛くて歩けませんでした。痛みが引いたら追いかけると約束して、金太郎を見送りました。
次の日桃太郎と名乗る男が、サルと犬とキジを連れてやってきました。
「ここに悪い赤鬼がいると聞きました。本当ですか」
「わしはずっと泣いてただけだ」
桃太郎は泣いていた理由を聞いて言いました。
「人を襲う悪い鬼がいると聞いて退治にきたのです。その後で良ければ我々も青鬼さんを探しましょう」
桃太郎はおいしいきび団子をくれました。さるは目に効く薬を、キジは可愛い馬のぬいぐるみをを、犬は岱陽のマテ茶をくれました。
赤鬼はお礼を言って、鬼退治に出かける4人を見送りました。そしてきび団子とマテ茶で食事をして、目薬をさして、馬のぬいぐるみを抱っこして寝ました。
次の日、赤鬼の目はすっかり良くなりました。元気になった赤鬼は金太郎を追いかける事にしました。しかしよく考えたら金太郎がどこに行ったか分かりません。道の真ん中で困っていると泉小太郎と名乗る男がやってきました。
「私の母上を知りませんか。普段は女性ですが、本当は龍の姿をしています」
「わしも人を探してるんだ。金太郎って言うんだけど」
「その人なら噂を聞きました。ご案内しましょう」
ですが赤鬼は泉小太郎のお母さんをご案内出来ません。
一方的に助けて貰って、とても申し訳ない気持ちになりました。しかし泉小太郎は笑って「仁に背く様な真似をしては両親に合わす顔がありません」と言いました。
仁の意味は判りませんでしたが、それでも赤鬼はとても嬉しくなりました。泉小太郎にお礼を言って、金太郎のいる場所まで案内して貰いました。
泉小太郎は赤鬼を湖に連れてきました。湖のほとりには大きく禍々した岩の城が建っています。その前に金太郎と、桃太郎達までいました。
「青鬼が料理係りとして連れ去られたという噂を聞いてきたんだ」と金太郎は言いました。
「我々が探していた悪い鬼の住処もここです」と桃太郎も言います。
乗り込もうとした所を、湖から現れた美しい龍が止めました。
「いけません。彼らは村の子どもを人質にとっています」
優しい女性の声でした。
赤鬼は言いました。
「わしが仲間になりたいふりをして、先に子どもを逃がすぜ」
危険な役目ですが、青鬼や子ども達を助けるためなら怖くありません。
赤鬼は一人で門を叩き、中に入れて貰いました。悪い鬼達は弱そうでしたが人数が多く、子どもを召使の様に働かせていました。強い赤鬼はとても歓迎され、部屋まで用意して貰いました。
「これなら大人も召使として連れてこれる」と悪い鬼達は大喜びです。
夜、悪い鬼達がお酒を飲んで寝静まった頃、赤鬼は子ども達が閉じ込められた牢屋を見つけました。丈夫な鍵に安心したのか、見張りはいません。
赤鬼は鍵を壊して子ども達を出してあげました。門の前ではすでに金太郎達が待っていたので、泉小太郎に子ども達を預けました。子ども達を外に出した途端、城から大きな声がしました。
「子どもがいなくなっているぞ!」
その声で鬼達がどんどん起きはじめました。
しかし人質がいない今では悪い鬼など怖くありません。赤鬼も金太郎も桃太郎も、犬も猿もキジも、みんな勇敢に戦いました。
悪い鬼達は反省して謝りました。
「もう悪い事はしません。隠し部屋に閉じ込めた青鬼も開放します」
赤鬼は、ずっと青鬼がいないのを気にしていました。料理の腕を気に入られた青鬼は、逃げないように巧妙に隠された部屋に閉じ込められていたのです。
赤鬼は隠し部屋の扉を壊しました。
「どうして来たんだ、おいらといたらまた…」
「一番の友達を怖がるような奴となら、仲良く出来なくていい!」
二人は泣きながら仲直りしました。桃太郎とキジももらい泣きして大声で泣いていました。
「これじゃ手合わせは当分先だな」と金太郎は笑いました。
城を出ると、子どもを村に送り届けた泉小太郎が待っていました。
「みなさんにお礼を言わねばなりません。あの龍が私の母、乙姫だったのです」
本来この湖は川として下流に流れ人々の生活を支えていました。しかし鬼達が堰を作り水を独占していたので、竜宮城を夫に任せて、乙姫はここへ来ていたと言うのです。
「私ひとりでは子どもを助ける事が出来ず何も出来ませんでした。有難う御座います」
龍はお礼を言ってから空に飛び立ちました。
「堰を壊す前に、川に近づかない様に人々に伝えてきます」
赤鬼達はその間に堰を壊す準備をする事にしました。反省した元・悪い鬼達も手伝います。
龍が戻ってきたので、赤鬼達は堰を壊しました。川には水が戻り、下流の人たちの喜びの声が聞こえてきます。赤鬼は嬉しくて笑いが止まりませんでした。
それから、元・悪い鬼は迷惑をかけた村々で仕事を手伝い、仲良く暮らしました。泉小太郎も乙姫と竜宮城に戻り幸せに暮らしました。
桃太郎と仲間達も自分達の村に戻り、また悪い事をする者が出ないか注意して見守っています。
赤鬼と青鬼も前のように…いいえ、前よりもっと仲良くなりました。青鬼も人々に受け入れられ、友達がたくさん増えました。
そして、約束通り赤鬼と金太郎は手合わせをする事になりました。どちらが勝ったのでしょうか?それはまた、別のおはなし。おしまい、おしまい。

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