2013/08/16

夏季特別イベント用 怖くない?話

 (元ネタがコピペではありません。ご注意下さい)




目を覚ますと何時の間にか、前の座席に男がひとり座つていた。

男はPS VITAを持つてゐる。大層大事さうに膝に乗せてゐる。時折PS VITAに話しかけたりする。眠い目を擦り、いつたい何をやつてゐるのか見極めようとするが、如何にも眠かった。P4Gかモンハンでもやつてゐるのか。なんとも手頃なよいゲーム機である。男は時折笑つたりする。

「でり」
PS VITAの中から聲がした。頭でも光らすやうな男の聲だった。

「聴こえたか」
男が云つた。天然由来の糖のやうな聲だ。うんとも否とも答へなかつた。夢の続きが浮かんだからだ。
「だれにも云わないでくれ、特に惇には」
男はさう云ふとPS VITAを持ち上げ、こちらに向けて中を見せた。


PS VITAの中には已吾生まれのTさんがでつちりと入ってゐた。


頭がつるぴかだ。勿論善く出来た人形に違ひない。人形の胸から上だけがPS VITAに入つてゐるのだらう。何ともあどけない顔なので、つい微笑んでしまつた。それを見るとPS VITAのTさんもにつこり笑つて、「でりー」と云つた。

ああ、生きてゐる。
何だか酷く男が羨ましくなつてしま

「そいつは偽者ですッ!!!!」
汽車の窓から飛び込んで来たのは、已吾生まれのTさんだつた。
「御大将と見知らぬ誰かしらを惑はす魍魎めッ!デリーッ!!」
Tさんの頭が光ると、PS VITAからどろどろと黒い影が伸び、断末魔の悲鳴をあげて消滅していつた。

「悪来、わしは」
「お戻り下せえ。わしはゐなくなつても、御大将はお一人ではありやせん」
ニ人は暫く見つめ合つてゐたが、いつの間にかTさんは消えてしまつてゐた。


次の駅で大将と呼ばれた男は降りた。
私は捨てられたPS VITAを拾つて、眞つ黒な画面を見てゐた。壊れてしまつたのならば、自らの手であの男を―


先づは壊れていないPS VITAを用意しなくてはならぬ。

2013/07/28

夏季特別イベント用 怖くない話5と6

数年前に、赤壁で朝釣りのためにキャンプをしていたときのこと。
 夜中のたき火中に「助けてえええ誰かあ」と女性の声が河の方で聞こえてきて、そちらに目をやると女性が苦しそうな表情で溺れていた。

びっくりしたと同時に、助けなきゃと思い立ち上がったら、周瑜が「落ち着くんだ孫策ゥ!」って引き留めるから、「助けなきゃやばいずぇ!」と言い返した。
 「孫策、冷静になってよく見て見ろ!ここから離れていて真っ暗なのに、顔がはっきり見えるのはおかしい!」と、言うもんだから改めて見てみた。
そうしたら、水の中でばしゃばしゃ藻掻くこともやめて、じっとこちらを見ていた。足が立つ場所じゃないのに…

するとむこうからすごい速度のアヒルボートが!!
あの輝く頭は已吾生まれで霊感の強いTさんだ!
Tさんは溺れてる女の影に向かって「デリーッ!!」と叫んだ。
すると女の影は断末魔の悲鳴を上げながら粉みじんになって吹き飛んだ!

已吾生まれって凄い、改めてそう思っていると、周瑜が「孫策ゥ!ボートが沈み始めている!!」と叫んだ。
Tさんも気付いたようで、あたふたしていたが、結局河に落ちて「助けてえええ誰かあ」と頭を苦しそうに光らせて溺れていた。

幸いすぐに助ける事が出来て、Tさんは水も飲まず元気そうだった。
「このあたりは水難事故が多いから、仲間が欲しかったんだろうぜ。それはそれとして、助けてくれてありがとう」
「いえいえ、こちらこそ」

Tさんははにかみながら「みんなには内緒にしてな?」とだけ残して帰っていった
已吾生まれも人間だ、改めてそう思った。


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今日、両親と兄が出掛けて、家には私と妹の尚香だけ。
暇なんでちょっと意地悪してみた。

何となく居間で一緒に子虎と遊ぶ。結構風の音が強い。
尚香「今日風強いね」
私「ヤマダマンが来るかも知れないな」
妹「え?何それ?」
私「…何だったか忘れた。その携帯で調べてみたらどうだ?」

15分後。
ずっと携帯を握って固まってる尚香。
私「そう言えば、今日は練師の家に泊まる約束だった(嘘)。21時くらいに家を出るぞ」
尚香「え?そんなの聞いてないよ…っていうか変なもの読ませないでよ権兄さま!」
読むと来る系の怖い話を集めたサイトを、読み通した様だwww
「権兄さま、練師の家に泊まれていいな…」「ねえ、今日は家で私と遊んでよー」「私もついていっていいでしょ?」「虎太郎が怖がってるし、家に居たほうがいいよ?」
引き留め作戦に出る尚香。
スルーして居間を出ようとすると、
「ちょっと待って!出来ればこの部屋から出ないで!ね?」
面白いので、非通知で無言電話掛けたり、影から物音立てたりして遊んでみた。
「権兄さまでしょ!ほんっと怒るよ?!もう、そういうのやめようよ…
ぅ…ぐっ…ひっ……(泣き始める)」

コン……コン……

窓がノックされた。風なんかじゃない。
手首から先がない血まみれの掌が、カーテンのスキマから見えた。
私は家の中から尚香にイタズラをしている…そんな……本当に幽霊が…!?

尚香「いやあああああ!!!!!!!!」
一閃、尚香が無双乱舞で掌を吹き飛ばした。
尚香「ああ怖かった…ほら、変なおばけみたいなのもいるし、今日は出掛けない方がいいわよ!ね!?」
私「わ、わかった。断るとしよう…」

謎の手より尚香の方が怖いと思いながらメールをするふりをしていると、窓の向こうから「わしのお仕事が…」という已吾生まれのTさんのしょんぼりした声が聞こえた。

已吾生まれでも妹には敵うまい、改めてそう思った。


2013/07/27

夏季特別イベント用 怖くない話4

わしの誕生日に、ホームパーティを開いた。
その時、家の中で皆の写真をとってみたら、変なものが映ったのだ。
背後の押入れから真っ白い顔して真っ赤な目の夏侯惇が顔を出して、こっち睨みつけていた。

これはやばいと、パーティーに来ていた已吾生まれのTさんに写真を鑑定してもらった。
そしたら、「この写真からは霊気を感じません。心霊写真ではありやせんよ、殿。」だとさ。

心霊でないなら安心だ。本物の夏侯惇なら部屋に入る許可を出しているし。



……
………

あっ、誕生日パーティーに誘うの忘れたから拗ねていたのか!!

「悪来、一緒に謝ってくれ」
「わ、わし幽霊以外はちょっと…」


已吾生まれにも怖いものはあるらしい、改めてそう思った。